男性でも女性でもない第3の性とはなにかご存じですか?
ニューハーフではありません。社会的にマジに第3の性と呼ばれるカテゴリーがあるのです。それは日本ではなく、インドの話です。(他の途上国にもあるようです。)
インドにはヒジュラというカースト(正確にはアウトカーストの1つのコミュニティー)があり、社会的にも認知されています。
ヒジュラの親からヒジュラの子供が生まれると言うことはありません。なぜならヒジュラは基本的に去勢するからであり、女性はヒジュラにはなれないからです。すなわち、再生されない人達なのです。それなのに、何故根絶されないかというと、毎年何万人もの人が新たにヒジュラになるからです。
新たにヒジュラになる人達にはいくつかのパターンがあります。
- 若くて美しい男の子が誘拐されて強制的に去勢されるケース。日本ではあり得ないことですがインドでは本当にあるようです。
- 貧しい家庭が食い扶持を減らすために、可愛い男の子をヒジュラのボスに預けるケース。
- 貧富にかかわらず男の子がどうしても女の子になりたくてヒジュラのボスに駆け込むケース。
- 生まれつき両性具有だったり、完全なインポだったりする人がヒジュラになるケース。
インドのヒジュラの人口は70万人とも百数十万人とも言われているそうです。
私もインドに生まれていれば上記の3のケースのようにヒジュラのボスに駆け込んでいたと思います。
ただ、ヒジュラになると、まともな職業では採用してくれず、乞食(神の使いとして踊ったり祝ったり呪ったりしてお布施を受け取る)か売春の仕事しかできないと言われています。
第三の性への誘惑は、日本人男性が絶世の美女の踊り子に魅惑されてついていってしまい、ヒジュラにされてしまうという小説です。本当にヒジュラの立場で描かれているので、読んでいてひとごとではなくなる、という感じで、心底引き込まれました。
ノーマル男性にはわかりにくいと思いますが、第3の性に生まれついた人間にとっては、最もシリアスな小説でした。