バイトを9月22日月曜日に休ませてもらって4連休!仲良しの女友達と二人で奥飛騨~福井方面に遊びに行きました。彼女が運転する愛車MocoのNavi役をしっかりと果たしてまいりました。
月曜日に、福井の日帰り温泉で、困ったことになりました。入場券の自動販売機で二人分の入場券を買って、2人並んで笑顔で受付のおじさんに入場券を渡すと赤い色のロッカーキーを二つくれました。受付ボードの上半分に青い色のロッカーキー(男性用)、下半分が赤い色の女性用のキーのボックスが並んでいて、女友達の分(赤色)と私の分(青色)のキーをくれるべきなのに。
「これ、二つとも女性用のキーですか。」と女友達がおじさんに(ミスしたことを傷つけないような優しい口調でそれとなく)言ってくれました。
すると受付のおじさんは、
「ええ、女性のキーお二人分です。」
と怪訝な顔で女友達に返事しました。
まずい、このおじさん、私を女性と認識してしまったんだ、と気づきました。女友達もそのことを同時に気付き、私の顔を見てニヤニヤしています。
私は出来る限り低い声を出して、
「男性用のキーは青い方ですよね。」
と小さい声で言いました。(受付の横の長椅子に入浴客が何人か座っていたので聞こえないように気を付けたのです。)
おじさんは、幽霊を見るような目で数秒間私を頭のてっぺんから腰のあたりまでスキャンしました。(受付の台に隠れて上半身しか見えない。)そして、単なる渡し違いを装って、
「あっ、これ赤でしたね。」
と言って、青のキーに取り替えてくれました。
最近、公衆トイレで手を洗っていると、後から入って来た男性が私を見てあわてて引き返し、男子トイレの表示を再確認して再び入ってきて、非難めいた目で見られる、という事件が、2,3週間前から数回あったので、今回の旅行は思いっきり男性的な服装にしたつもりだったのに・・・・
女性ホルモンを開始してから半年以上経つと胸が膨らむだけでなく、体全体が微妙に変化してきます。100%男性の服を着ている時にトイレで見とがめられることが続いたら「その時がフルタイムの女性になる潮時だよ」とTSの先輩たちから言われてきましたが、ついに私も潮時か・・・
男湯に入っても胸を見られないようにタオルで隠せばなんとかなるだろう、と気軽に思ってこの日帰り温泉に来たわけですが、本当に大丈夫だろうか、と非常に心配になり、男湯の入り口近辺で人が居なくなるのを見計らって、素早く暖簾をくぐりました。幸い平日の昼下がりで、脱衣場には誰もいませんでした。
服を脱いで鏡の中の自分を見ると、(女に見えないか心配しているので余計そう見えたのでしょうが)股間以外はどう見ても女性にしか見えませんでした。胸はAカップより小さいですけれど、自分の胸が完全に女性の胸になってしまったことに改めて気づき愕然としました。
胸をタオルで隠しながら、風呂場のガラス戸を開けました。内湯には私のほかに3人しかおらず、誰にも気づかれないように、隅っこの洗い場に行って急いで髪を洗い、ボディシャンプーで体を綺麗にした後、シャワーで流して、タオルを絞って体を拭きました。
全部で5分もかかりませんでした。折角の温泉なのに、見とがめられるのが嫌なので、それだけで我慢しました。
内湯に入っている人に背中しか見えないようにして、急いで脱衣場に戻りました。まだ十分乾いていない体に着替えの黒のT-シャツとグレーのジャージーを着て、ほっと一息。でも、このT-シャツだと胸があることがバレそう・・・
ドライヤーをしている時に地元のおじいさんが一人脱衣場に入ってきました。背中から鏡越しに、「おい、ねえちゃん」と呼ばれたので、これはまずい、と思い、とっさに、そこに置いてあった雑巾で洗面台を掃除して従業員のフリをしました。
そして、「失礼しました」と女声でいいながら一礼して暖簾から出ました。ふうっ、クワバラクワバラ、こんな経験もうこりごりです。
受付の横の長椅子で半時間以上待ち、やっと女友達が女湯から出てきたので、逃げるように外に出ました。
「平日とはいえ田舎ねえ。私の前に入っていたお婆さんが出ていった後は、女湯は私ひとりだったのよ。」
その一方で、私がどんな苦労をしていたかを話すと、女友達は大声で笑いました。
「受付のおじさんにもらったキーでそのまま女湯に行けばよかったのよ。そうすればゆっくり一緒に露天風呂を楽しめたのに。」
「そんなの結果論だよ。」と反論しましたが、本当にそうすればよかった。股間を隠すのは簡単ですから、今の私の体なら女湯に潜り込む方がはるかに楽です。
「もう潮時じゃない?」という女友達の言葉が(それは早く手術して取っちゃえというブラックなジョークだったのですが)ずっしりとした重みで心に残りました。
23日に帰宅してから男友達に電話でお風呂のことを話したところ、
「お前その体でよく男風呂に入ろうと思ったな。警察を呼ばれるぞ。」
と怒られました。
やりたくてやっていること(女性ホルモン)ですから、凹む必要は全くなく(むしろ喜ぶべき状況であり)、外見の女性化が自分の意識よりも急に進んで、ギャップにどぎまぎする方が間違っているのだと自覚しました。男性の服を着て外出するのが怖くなりました。潮時ですね。